始め・終わり指定作文。その2

ここでは、「 始め・終わり指定作文。その2」 に関する記事を紹介しています。
FC2コミュ「みんなで、物語を紡ごう!」で行った
始め・終わり指定作文。で作ったのをアップします。
最初の一文と最後の一文が指定されたものです。

指定は
(最初)近所のコンビニで、彼女と偶然会った。
      ↓
      ↓
      ↓
      ↓
(最後)涙があふれた。
です。



近所のコンビニで、彼女と偶然会った。
彼女は髪を黒に戻してショートカットになっていたが、間違いない、江住さんだ。

もう商品を手にしていた僕は決死の覚悟で彼女のいるレジに並んだ。
果たして彼女は僕に気付くだろうか――。
バーコードが打たれている間僕はずっと目を伏せていた。
ビニール袋に入れる、支払い、幸い何事もなく終わろうとしていた。

だが、おつりを受け取ろうとした瞬間、事件は起きた。
彼女の指が僕の右手に触れたのだ!
とたんに僕は気が動転してしまい、左手で袋をつかむと逃げるようにコンビニを出て行った。
部屋に帰って鍵を閉めると、僕は床にどかっとあぐらをかいて座った。
まだ息は荒い。
そしてそのままさっきのことを思い返した・・・。

江角さんが僕の右手に触れた!
中学のとき、バイキンと言っていじめていたこの僕の手を!!
細くてきれいな指で、醜いブタのような僕の手を!!
彼女は今しがた触れてくれたのはまさしくこの右手!!
感触はまだ残ってる!
ひょっとしたらにおいまでついてるかもっ、なんてね!!
今日という日、俺、一生忘れない!!

僕はますます息を荒げていった。
だが、2分もたたないうちに頭はすっきりとして、先ほどの興奮が嘘のように冷静になった。
なんてばかばかしいことを考えていたんだろうと少しウツになるとともに、北海道男爵いもコロッケを買うのを忘れたことに気付き、再度コンビニに行くことにした。

だが、コンビニに入った僕の姿を認めるや彼女は言った。
「あれ? お前、江村じゃね? そういえばさっきも買いに来てたよな。」
「あ、はい・・・。」
反射的に僕の体は縮こまってしまった。

だが彼女は昔僕にしていた事を忘れたかのように話しかけてくる。
「久しぶりだねー。ちょっとこっち来なさいよ。」
以前とは雰囲気の違う笑顔に少し拍子抜けしながらも、僕は彼女に向かって足を1歩進めた。

そのとき。
僕の右のズボンのすそからティッシュが落ちた。
凍りつく僕。
ぎょっとする彼女。
ええ、そうです、それってさっき、終わった後に当てがっておいたやつです。
僕、捨てるの忘れてました。
涙があふれた。



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