間隙を縫え

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都会の喧騒の中俺は全神経を一点に集中していた。
他には何も目に入らない。
全ての雑音は耳の前で空しくかき消されてゆく。
もはや俺の存在そのものが10m先の3cmの隙間へと向けられていく。
俺と目標の間に何が通り過ぎようとも見失ったり、目をそらしてしまうことはない。
まばたきだってしない。

周りの人に気づかれてしまってはいけない。
そうなると余計に緊張して腕が震えてしまうのが素人だが、俺はそんなやつらとは違う。
一級のプロだ。
瞬間瞬間の刹那に生まれる隙は5mmとて見逃さない。
この動物的とまで言える嗅覚はこれを始めた10年前から一切なまってはいない。
むしろ日を追うごとに鋭敏になっているとすら言える。

もちろん罪悪感を少しは感じている。
だがこの世界、隙を見せた方が悪いのだ。
それが掟であり、法を口にするやつは自分の身を自分で守れない甘ちゃんなだけだ。
呪うべきは己の未熟さだ。

俺の能力はひたすら敵を作っていく。
だが、俺にはもうこれをやめることができない。

それにしても今日のターゲットはかなり隙だらけだ。
何に夢中になっているのか知らないが、延々と俺に背後を見せ続けてくれている。
今日はなんていい日なんだ。
そう思いながら俺の視線はずっとその間隙の中の白い肌に向けられていた。












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